公営住宅は国や自治体が所得の低い人に対して安い賃料で提供することで、生活の安定につなげることなどを目的に、整備されています。

自治体は病気などの特別な事情をのぞき、入居者の所得が基準を超えている場合には、明け渡しを求めるなどの対応をとることとされています。

会計検査院は13の道府県にある公営住宅で、2020年度末時点で所得が入居の基準を超えているのに長期間入居を続けていたり、所得の申告がされていなかったりするケース、およそ3万世帯を対象に、自治体側の対応を調査しました。

会計検査院によりますと、198の自治体の724世帯については、所得の高い入居者への明け渡しの請求などが適切に実施されていませんでした。

409の自治体の1万5227世帯については、明け渡し請求が必要な所得の水準には達していなかったものの、ほかの住宅のあっせんなどが適切に行われていませんでした。

会計検査院は「所得の高い人が公営住宅を利用し続けることは、所得の低い人の入居の機会を奪うことにつながる」として、自治体の住宅整備に交付金を出している国土交通省に対し、改善を要求しました。

国土交通省は「今回の指摘を踏まえ、自治体で適切に対応してもらうよう働きかけていく」としています。