これは民間の調査会社、東京商工リサーチが春闘の交渉が本格化する今月、インターネットを通じて行ったもので、全国の中小企業3873社から回答がありました。

それによりますと新年度、賃上げを実施するとした中小企業は85%となり、定期的な調査を始めた2016年度以降最も高くなりました。

一方で、賃上げ率でみると
▽2%台が20%
▽3%台が33%
▽4%台が9%
▽連合が方針に掲げる5%以上は26%と
今年度の実績を11ポイント下回り、中央値も今年度を0.5ポイント下回りました。

賃上げを実施しないとした583社にその理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのが「コスト増加分を十分に価格転嫁できていないため」が54%、次いで「原材料価格などが高騰しているため」が49%でした。

また、人件費が増加したと答えた企業のうち「価格転嫁できていない」と答えた企業は48%とおよそ半数にのぼりました。

ことしの春闘では中小企業も含めた持続的な賃上げが実現するかが焦点となっていますが、中小企業では特に高騰する原材料費や人件費などの価格転嫁が難しく、賃上げの妨げになっている実態が改めて浮き彫りになりました。

東京商工リサーチの原田三寛情報部長は「中小企業にも賃上げマインドは確実に定着しているが、燃料費や人件費の増加を価格に転嫁できていないために賃上げの原資を確保できていないことが見てとれる。コスト上昇分をみずから引き受けてしまっている中小企業が多くいるので、一時的な機運ではなく、継続的に価格転嫁しやすい環境づくりを考えなければならない」と話していました。