気象庁によりますと台風11号は南シナ海で急速に発達し、6日午前9時や正午の観測では中心気圧915ヘクトパスカル、中心付近の最大風速55メートル、最大瞬間風速は75メートルと猛烈な勢力まで発達し、アメリカのJTWC=米軍合同台風警報センターは一時、最も強い階級の「スーパータイフーン」=「スーパー台風」だと解析していました。

午後3時にはやや勢力を弱めたものの、非常に強い勢力となってトンキン湾へと向かっています。

台風のメカニズムに詳しい名古屋大学・横浜国立大学の坪木和久教授が1980年から2023年の44年間のデータで海域ごとに「スーパー台風」クラスの台風が通過する頻度を分析したところ、フィリピンの東から南西諸島の南側の海域では、年に2回や1回程度はこうした台風が通過することがわかりました。

一方、今回のように、南シナ海をスーパー台風クラスの勢力で台風が通ることは極めてまれだということです。

この理由について坪木教授は、南シナ海の海面水温が30度ほどと平年より高いことなどが影響していると分析しています。

坪木教授は「南シナ海でスーパー台風になったことで、やや勢力を落としたとはいえ、中国南部の海南島やベトナムでは、厳重な注意が必要で大きな被害のおそれもある」と話しています。

そのうえで「同じくらいの海面水温は西日本の海上に広がっていて、条件が重なれば同じような勢力の台風が日本に接近することも考えられる。来月前半ころまでは日本でも強い台風に十分注意が必要だ」と指摘しています。