新たに発足したのは、認知症行方不明者の家族によるNPO法人「いしだたみ」で、代表理事の江東愛子さんが20日、記者会見して「認知症行方不明者の家族がつながり、声を上げていくためには団体が必要だと考えた」と述べました。

認知症やその疑いがあり警察に行方不明届が出された人は、去年は延べ1万9039人で、統計を取り始めた2012年の9607人から1.98倍となり過去最多です。

このうち502人は死亡が確認され、250人は去年のうちに発見されませんでした。

一方で、現在も行方不明のままになっている人の累計の人数は統計がなく、わかっていません。

団体がこれまでに行った行方不明者の家族を対象にしたアンケートでは「県境を越えて捜索することを行政や警察に依頼する手順や手段が分からなかった」などの捜索の課題や「長期間行方不明のままで、本人の年金の支給は止められたけれども、介護保険料の支払いは続けなくてはならず生活の負担が増した」などの声が寄せられたということです。

団体では、認知症の行方不明の人に関する相談事業や、行方不明者家族が集いや支え合う場の開設、それに自治体や警察などと連携し、初動の捜索や行方不明が長期にわたった場合の必要な支援策などについて提言していきたいとしています。

江東代表理事は「認知症の行方不明者は自分の意思で行方不明になったわけではないと思う。認知症の家族が行方不明になった同じ境遇で苦しんでいる人が救われるよう、その実態を国や自治体に伝えていきたい」と話していました。