脳死下で提供された臓器の移植を受ける患者は、日本臓器移植ネットワークに登録された中から、重症度や待機期間などをもとに優先順位が決められています。

厚生労働省が2023年、1年間の移植手術の実施状況を調べたところ、手術の対象に選ばれたものの医療機関側の体制が整わないことを理由に手術を見送られた患者が25の医療機関で延べ509人いたことがわかりました。

臓器別にみると、いずれも延べ人数で、肺が364人、すい臓が55人、心臓が53人、小腸が17人、肝臓が15人、腎臓が5人となっています。

日本移植学会によりますと、移植までの待機期間は、平均で心臓で5年近く
、肺でおよそ2年半などと長期化が課題となっています。

東京医科歯科大学心臓血管外科の藤田知之教授は「医療機関側も、人員や設備が不足し苦しい状況だと思うが、患者にとって、順番がとばされてしまうのは大変な不利益だ。順番どおり受けられるよう、手術ができる医療機関を増やすなど対策を急ぐ必要がある」と指摘しました。