伊藤時男さん(73)は、10代のころに統合失調症と診断され、22歳で精神科病院に入院し、退院を求めても認められず、およそ40年にわたり入院が続き、地域で生きる権利を奪われたとして国に3300万円の賠償を求めました。

1日の判決で、東京地方裁判所の高木勝己 裁判長は「入院患者に違法な拘束があれば法律で救済する道は開かれている」と指摘しました。

そのうえで「入院が長期化したのは、症状があったことや退院先の調整がつかなかった可能性が考えられる。国が施策を怠ったことで長期の入院を強いられたとは言えない」として訴えを退けました。

判決のあと、伊藤さんは控訴する考えを示したうえで「4年間裁判で闘ってきたが、残念ながら棄却された。長期入院の問題がなくなるようこれからも訴えていきたい」と話していました。