東京 新宿区で開かれた講演会には、40年以上、認知症の診療にあたっている繁田雅弘医師が講演し、認知症の人の家族などおよそ250人が集まりました。

認知症になると本人や家族がその事実をすぐには受け入れられず、どう向き合っていけばよいのか分からないという人は少なくありません。

繁田医師は「認知症になっても幸せそうに生活する人とそうではない人がいるが、その違いは、本人や家族らが認知症とどう向き合っているのかが大きく関わってくる」と指摘しました。

そして「認知症になったら、苦労が増えたり時間が掛かったりすることはあるが、何もできなくなるという古い見方は捨てるべきだ。認知症という病気でひとくくりにするのでなく、その人の症状や行動そのものに目を向けていく必要がある」と訴えました。

その上で繁田医師は、認知症の人の行動には本人の考えがあり、それを周りが理解していくことが大切で、本人を傷つけることもなくなり、違った見え方も出てくると話していました。

講演会に参加した50代の男性は「親を愛するがゆえにこうあってほしいという思いが先行し、時に本人を責めてしまうこともありますが、行動の背景を深く考えていく大切さを教えられました。これから実践していきたいと思います」と話していました。

また認知症の人や家族の支援にあたるケアマネージャーの60代の女性は、「家族から『元に戻らないのか』という相談を受けることも多いのですが、家族が現状を受け入れることも大切で、そのための支援を強く意識していきたいと思います」と話していました。