3年前の2021年5月、札幌市内の小学校に通っていた当時3年の男子児童は学校外のスポーツ活動で知り合った中学1年の男子生徒から、3回にわたって体を触ることなどを強要され、その後、ストレス性障害と診断されました。

その年の12月に保護者は小学校に調査を依頼しましたが、市教育委員会が「重大事態」と認定し第三者委員会による調査が始まったのは、およそ5か月後でした。

8日公表された調査報告書では、小学校の対応について、教頭がひとりでほとんど対応していたため関係者に情報が共有されないなど情報管理がずさんだったとし、中学校も、通学路で児童と生徒が顔を合わせないようにするための配慮ができておらず、いずれも不適切だったと指摘しています。

そのうえで、市教育委員会は重大事態としてすぐに調査を始めるべきだったとしています。

最後に報告書は「各学校のいじめ対策の基本方針で定められている組織的な対応ができていなかった。教育現場が法を守るつもりがあるのかと疑いたくなる思いを禁じえなかった」などと厳しく指摘したうえで、再発防止に向けた体制づくりを求めています。

第三者委員会の加藤弘通 委員長は「学校のガイドラインを見直し、教員以外に外部の専門家に頼ることを検討してもらいたい」と話していました。

また、札幌市教育委員会の喜多山篤 児童生徒担当部長は「児童や保護者に不安な思いやご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げる。提言を真摯(しんし)に受け止めたい」と話していました。