厚生労働省は、労働者にリスキリングのための職業訓練などを行った経費や訓練期間中の賃金の一部として、全国の事業主に年間200億円規模の助成金を支出しています。

この「人材開発支援助成金」について会計検査院が調べたところ、令和5年度までの5年間に、全国の32の事業主が、職業訓練などを提供する会社や団体からさまざまな名目で資金提供を受けているのに、費用の全額負担が支給条件となっている助成金を受け取っていたことがわかりました。

背景には、制度の趣旨を逸脱する「実質無料」をうたった営業があり、いずれの事業主も、受講者の感想文を提出したり、動画撮影に協力したりする見返りに、訓練を提供する企業や団体に研修費用の一部を負担してもらっていました。

中には、感想文の提出で1人分当たり11万円余り受け取っていたケースもあったということです。

合わせて1億円余りが不適切に支給されていたということで、会計検査院は、厚生労働省に対し、感想文提出などの協力すらせず受給していた愛知県と茨城県の会社に、助成金を返還させるとともに、不正受給を防ぐ対策をとるよう求めました。