シンポジウムには「医療事故調査制度」を運営する日本医療安全調査機構や、事故の遺族らで作る団体の代表らが参加しました。

この制度はすべての医療機関に対し、患者が予期せず死亡した場合に医療事故として第三者機関への報告や調査を義務づけていますが、報告するかどうかの判断は医療機関に委ねられています。

機構の木村壯介常務理事は「報告件数は各都道府県で最大5倍の差があり、600床以上の病院のうち2割は報告がない。制度開始から来年で10年となるが、対応には、いまだばらつきがある」と指摘しました。

これに対し「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」の永井裕之代表は「患者が亡くなっても手術などの合併症で予期されたものだとして報告しない医療機関は多い。判断の指針をはっきり示すべきだ」と話しました。

機構が行ったおよそ9000の医療機関へのアンケートでは、事故として報告すべきかを院内でどう検討するか困ったという意見が多数寄せられたということで、機構では新たに対応の手引きを作成し、公表するとしています。