昭和30年代から40年代にかけて熊本県や鹿児島県に住み、その後、関西などに移り住んだ120人余りは、水俣病に認定されていない人を救済する特別措置法で対象外とされたのは不当だとして国と熊本県、それに原因企業の「チッソ」に賠償を求める訴えを起こしました。

1審の大阪地方裁判所は去年9月、特別措置法の基準外でも水俣病にり患する可能性があるとする初めての司法判断を示して原告全員を水俣病と認定し、国などに1人当たり275万円の賠償を命じました。

国側と住民の一部が控訴し、25日から大阪高等裁判所で2審が始まりました。

国側は「1審で水俣病と認定する根拠となった医師の診断書などの証拠は医学や科学の知見に反している。原告が水銀に汚染された魚介類を食べたことによって、診断された症状が出たことが立証できていない」などとして患者の認定に誤りがあると主張しました。

また1審で適用されなかった「除斥期間」については、発症した時期が起算点になると主張し、最も遅い人でも昭和47年には発症していたはずで、訴えを起こした時点で賠償が請求できる20年は過ぎていたなどとして住民の訴えを退けるよう求めました。

一方、住民側は鹿児島県阿久根市出身で、大阪府内に住む70代の女性が意見陳述を行い「私は手足のしびれや震え、感覚障害に苦しんでいます。1審の判決では、つらい水俣病の症状をやっと分かってもらえたことで涙が止まりませんでした。1日も早い救済の道を開いてほしいです」などと訴えました。