「被爆体験者」をめぐっては、長崎地方裁判所が9月に、一部の地域で「黒い雨」が降ったと判断し、原告44人のうち15人を被爆者と認める判決を言い渡しました。

国は、すべての被爆体験者への医療費の助成を拡大し、被爆者と同等の助成を行う事業を創設するとした一方、今回の判決については、過去の判例との整合性がとれないなどとして控訴する方針を示していました。

そして、24日に長崎市の鈴木市長と長崎県の大石知事が県庁で原告や支援者と面会し、国の方針を受け入れて控訴したことを明らかにしました。

理由について、鈴木市長は「今回の判決では、被爆者健康手帳を公平に交付することが難しいと判断し、やむなく控訴した。つらい決断だが、ご理解いただきたい」と述べました。

大石知事は「厚生労働省からは、新たな被爆者健康手帳の交付の基準を策定できないと回答があった。再度、審議し、被爆者認定の統一的な基準が確立することで、交付対象の範囲が広がると考えている」と述べました。

これに対し、原告側は、被爆者と認められなかった残りの原告の認定を求めて、控訴しました。

原告団長の岩永千代子さん(88)は「命懸けで、やれるところまで裁判を続けたい」と話していました。