各都道府県にある「農業信用基金協会」は、農業者が金融機関から資金を借りやすくするために債務保証を行い、返済できなくなった場合は肩代わりしています。

国がそのための資金を出資し、独立行政法人「農林漁業信用基金」を通じて協会に貸し付けていますが、会計検査院が令和4年度までの10年間について調べたところ、367億円余りの貸付金残高のうち使われたのは年間17億円から40億円と、5%から11%にとどまっていました。

借り入れの需要が減っているのに基金の規模を維持してきたことが原因とみられ、会計検査院は、残高のおよそ6割にあたる218億円余りは今後も使用される見込みがないとして、農林水産省に対し、不要な分を国庫へ返納させるとともに出資や貸付の規模を見直すよう求めました。

農林水産省は12年前にも同様の指摘を受けていて、会計検査院は必要な見直しを適時適切に行う体制を整備することも求めました。

10年以上改善を図らず再び指摘を受けたことについて、農林水産省は「新型コロナウイルスや物価高騰などの影響が懸念される中、資金供給の円滑化を図るため必要だと考えていた」としています。

「農林漁業信用基金」の信用保証事業をめぐっては、5年前にも、水産庁が所管する漁業者向けの団体でおよそ90億円の公金が使用される見込みがないままになっていることがわかり、会計検査院が不要な分を国庫に返納させるよう求めていました。