埼玉県熊谷市の無職、安栖達也被告(29)は、去年10月、都内の駐車場に止めたレンタカーの中で、SNSで知り合った当時15歳の女子高校生に性的暴行を加えたうえ、首を絞めるなどして殺害し、遺体を乗せたまま栃木県上三川町に移動して遺棄したなどとして、殺人などの罪に問われています。

7日、宇都宮地方裁判所で開かれた裁判員裁判で、検察は「事件のおよそ2か月前から『殺人』『スーツケースに人が入る』などのことばを検索するなど、計画的だった。仕事を辞めて借金も重なり自暴自棄になった被告が、自身の快楽のためだけに行った身勝手で自己中心的な犯行だ」などとして懲役28年を求刑しました。

これに対し、被告の弁護士は、凶器を準備していないことなどを挙げて「衝動的なもので計画的な犯行ではなかった。裁判でも罪を認めている」などとして刑を軽くするよう求めました。

7日の審理では、検察の求刑に先立って殺害された女子生徒の遺族も法廷で意見を述べ、姉は「事件の日から妹を思わない日はありません。被告にはもう二度と塀の外へは出てほしくない」と話し、母親は「娘はもういないのに、会いたい、戻ってきてほしいと思ってしまいます。娘の最期のことばは何だったのか、息絶えた時に被告は何を思ったのか、すべてを話してほしい」と何度も声を詰まらせながら訴えました。

これまでの裁判で被告は事件の動機やいきさつなどについて詳しい説明はしていませんが、審理の最後に「被害者の楽しい人生を奪うだけでなく、人の命まで奪ってしまい、なんてことをしてしまったんだろうと思いました。刑務所で一日一日、反省したいと思います」と述べました。

判決は10月18日に言い渡される予定です。